2012年3月14日水曜日

iPadは、大きくなったiPhoneではない。

 アップルのApp Storeからアプリを入手する場合、その種類は 大きく3つに分類出来る。iPhone用のアプリ、iPad用のアプリ、ユニバーサルアプリの3種類である。ユニバーサルアプリとは、「iPhone」「iPad」「iPod Touch 」の全てに対応しているアプリである。ユニバーサルアプリは、それぞれのデバイスに対応したユーザーインターフェイスを自動的に表示する様に設定されている。つまりiPhoneの画面でも、iPadの大画面でも操作し易い様に調整されている。

 ここでは iPadアプリを さらに分類した上で、「iPadらしいアプリ」とは何かについて整理したいと思う。

有料・無料による分類
 アプリには有料で配信されるものと、無料で配信されるものがある。 アプリ市場全体の80%〜90%を アップルのApp Storeが占めている。その売上高は、Googleが運営している配信サービス Android Marketの約6倍である。内訳は、スマートフォン用でAndroid Marketの約4倍、タブレット用でAndroid Marketの約2倍(2012.1.13現在 産経ニュース)。アプリ配信のシステムが統合・整備されている事と、良質であれば有料アプリにも対価を支払うユーザーの存在は、iPadの強みである。アプリ市場がビジネスとして活性化するからこそ、良質なアプリも創り出されるのだ。先行するiPhoneアプリ程ではないが、iPadアプリ市場は、独自に成立している。

カテゴリによる分類
 アップルのApp Storeでは、iPhoneアプリとiPadアプリが、別々に提示される。iPadだけで動くアプリも存在する。App Storeでは、内容によってビジネス・教育・ゲーム・SNS等のジャンルに分類されている。この分類により、ユーザーは自分の求めるアプリへの到達を試みる。また「防災関連アプリ」等、特定のテーマでアプリの特集を編成している。20万以上という規模のiPadアプリが既に登録されている。

ユーザーインターフェイスによる分類
 iPadアプリは、ツールバーやタブバーといったインターフェイス設計の種類でも分類出来る。操作画面の基本形が数種類に定められる事により、様々なアプリで、操作方法が共通化される。その結果、ユーザーは新しいアプリに出会っても、直感的に操作方法を理解する事が出来る。これらインターフェイス設計の指針は、iPhoneとは別に「iPad Human Interface Guidelines」という文書にまとめられており、iPadアプリ開発者はこの指針に則して統一性を守る事を推奨される。

 iPadは、単に大きくなったiPhoneではない。まず、iPad独自のユーザーインターフェイス指針に則している必要がある。最も重要なのは、iPad独自の高解像度・大画面 をベースとして、デバイスの角度を高精度で計測するジャイロスコープ、GPS、カメラ、瞬間起動 等、各機能を意味ある場面で効果的に結合させて生み出す一連の世界観。それがiPadである。故に、ユニバーサルアプリは、iPadを最大限に活かしているとは言い難い。世界観は、iPadの特徴を活かしきる様に設計されたアプリでなければ体感出来ない。それは、特定カテゴリのアプリに限定されたものではなく、全カテゴリのアプリにとって共通な基本要素だ。故に「iPadらしいアプリ」とは、特定のカテゴリや分野(例えば電子書籍など)に象徴されるものではなく、各カテゴリに於いて この基本的世界観を見事に体現したアプリであると言える。

 今後は、個別のアプリの分析に入って行きたい。まず最初のアプリとして「元素図鑑」を取り上げたいと思う。

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