2012年10月8日月曜日

iPadのマップ上で、“東京タワー” が凄いことになっていた。

 アップルの純正地図アプリが、世界中で話題になっている。その完成度に問題があるからだ。この地図アプリで“東京タワー”の3D表示をすると、凄いことになっていた。東京タワーがまるで、高層ビルのような姿になっている。あるいは、何か大がかりな工事用の覆いで包まれているかのようだ。大改修工事のために、こういう四角い覆いで囲まれた姫路城や東本願寺の映像をTVで見たことがある。アップルは、最新のOS「iOS6」からGoogleマップと決別し、独自開発の地図アプリを標準搭載するようになった。この地図アプリは、世界中で批判にさらされている。都市やランドマークの名前が明らかに間違っている、農場を空港と取り違えている…などなど、様々な不満の声が聞こえて来る。

 実は、アップルの純正地図アプリで “東京都庁”を見ると、なかなかリアルな形状をしている。どうやら東京タワーのモデリングは、まだ間に合っていなかったようだ。このような複雑なモデリングをするのには理由がある。アップルの地図アプリは、リアルな3D表示を目指しているのだ。Googleマップもアップルのマップも、リアルな3D表示を最終的に目指しているようだ。ただし、Googleの方がマップのデータ構築に関しては、遥かに先を行っている。Googleマップの登場から、7年以上が経過。Googleマップを担当する従業員は、7千人を超えるそうだ。アップルが、これに追いつくには相当な努力が必要だろう。それでもアップルは、独自の地図アプリの開発にこだわった。

 
< アップルの地図アプリで、ロンドン上空を旅する。

 アップルの地図アプリは確かに問題だらけだ。情報も少ないし、間違った表記もある。だから私は、Webブラウザを通してGoogleマップを使用する。Googleマップは標準搭載されなくなったが、ブラウザを通せば利用できる。このさいGoogleマップ以外の地図アプリもじっくり吟味することにした。Googleマップ以外にも、多様な地図アプリが存在する。それでも私は、アップルの地図アプリをチョっと気に入っている。まずエンター テインメントとして楽しい。このアプリによって、ロンドンやニューヨークを空から眺めてみた。写真に荒削りなところもあるが、世界観が美しくて、とっても楽しめる。まるでピーターパンになったような気分だ。

 アップルは未完成の地図アプリを世に送り出し、ユーザーのフィードバックによって完成度を高めて行く道を選んだ。未完成であることは承知の上でリリースしたはずだ。今回アップルが下した決断は、根本的に間違っていたのか…  それは今しばらく時が経てば自ずと結論が出るだろう。ただし基本的な誤表記を、もっと修正してからリリースするべきだったということは疑いようがない。それでもCEOが迅速に謝罪し、代替となる地図アプリを速やかに提示したことは、評価して良いと思う。近頃は、こういう謝罪の意を素直に表明できない企業が多いように感じる。

 この問題の行く末を、これからも注視して行こうと思うのだが。全ては、アップルが今後、どの程度のスピード感で地図を修正していくか…  に、かかっている。一つだけ確実に言えることは、通常の企業であるならば、もっともっと苛烈な批判にさらされていたであろう、ということだ。アップルという企業は、不思議な企業だ。今回の地図アプリでも、間違い探しを楽しんでいるような人々まで現れた。他の企業にはない独特の魅力がアップルにはある…  と感じる人々が存在することも間違いないようだ。