2012年4月21日土曜日

タブレット端末が子供に与える影響を考えるべき理由。

 YouTubeに 「iPadの達人」というタイトルの動画がアップされている。1歳6ヶ月の子供が、見事にiPadを使いこなしているのだ。何の違和感もなく、 ホーム画面を指でスワイプし、吟味した上でアイコンをクリック。ホームボタンも効果的なタイミングで駆使。iPadを縦横無尽に使いこなしているのである。まさに“達人”である。子供が、これ程までに違和感なく簡単に操作出来る電子機器が、これまで存在しただろうか。この動画を見ると、自然と 笑ってしまう。

 2011年、マーケティング会社Kids Industriesが英米2,200人の保護者、子供を対象にある調査を実施した。その調査によると、3歳から8歳までの子供のうち、15%が両親のiPadを使用してお り、9%は自分用のiPadを、20%は自分用のiPodを所有している事が分かったという。同時に、タブレット端末への過剰な依存は、自閉症や注意欠陥障害などの発達障害を引き起こす可能性があるとする研究者もおり、専門家の間でも議論されているという事だ。

 どんなデバイスでも、過剰に依存すれば、様々な負の側面を誘発する可能性はあると思う。日常生活に於いて、実体験とiPad体験のバランスを保つことは非常に重要であろう。iPadはあくまでも道具であって、万能なベビーシッターではない。しかし、注意しながら使いこなせば、iPadは子供にも高齢者にも、素晴らしいメディア体験をもたらしてくれる。上記の調査では、タブレット端末の使用が子供にとって有益であるとする保護者は77%となり、また同数が「タブレットは子供の創造性を高めるのに役立つ」と考えている事が明らかになった。


 ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学マインツのStephan Fussel博士を中心とした研究チームによると、高齢者にとっては、紙の本よりもiPadで読む方が3倍速く読むことができる事も明らかとなったという。iPadであれば、細かい文字を自由に拡大出来る。背景と文字の色を自分好みの組み合わせに変更して、読み易くする事も出来る。これらの事は、紙の本では絶対に出来ない。iPadは子供でも簡単に操作出来る。これは高齢者にとっても操作が容易な事を意味する。私の母は、80代である。母にWindowsパソコンの操作方法を理解してもらうのは、ほとんど不可能だ。Windowsは操作方法が複雑過ぎる。しかし、iPadなら私の母でも操作方法を覚える事が出来るだろう。iPadは、電源ボタンを押せば即座に起動する。後は指でページをめくってアイコンを押すだけである。終了させるのもボタンを押すだけだ。高齢者でも、読書やインターネット体験で新しい世界に再度触れる事が出来る。スティーブ・ジョブズが、なぜ操作性も含めた総合的なデザインに拘り抜いたのか。それを、再認識させられる。

 iPadが登場しても、iPadによって紙の本が絶滅する事はない。iPadは紙の本の延長上に位置付けられるものではない。iPadが提供するメディア体験は、紙の本とは全く別のものである。本には本の代え難い魅力がある。紙の臭い、質感、手触り。紙のページを捲って行く時のリズムとゆったりした時間。本それ自体を所有する喜び。時に書籍は、それ自体が美術品のような美しい装丁の逸品もある。iPadが提供するのは、それらとは全く別の体験である。テキストと美しい画像、動画そして音楽が調和し統合される。そして、それらを指先一つで操作出来る。このような全く新しいメディアに、子供の頃から触れられる時代になった。タブレット端末が子供にどのような影響を与えるのか。それを今後も研究し考え続けるべきであろう。そしてアプリ開発者も、アプリ自体が社会に与える影響を自覚しなければならない。アプリ開発者にも社会的責任の自覚が求められる。

2 件のコメント:

  1. こんにちわ♪Google+から来ました。
    新しいiPadのディスプレイ、美しすぎますよね~今6歳の娘に買ってやろうか検討中です。悪い影響ももちろん考えられると思いますが、これからの社会において、この手のツールなくして生活することはできないような気がします。
    …というのは建て前で、実は私のGALAXYを貸してくれと毎日うるさいもので(笑)

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    1. コメントありがとうございます。日常生活の様々な場面で、子供たちは“素敵な好奇心”と“驚く様な適応力”を見せてくれます。子供たちを見ていると、生きるエネルギーを感じますね…。子供たちが、大人たちに“生きるエネルギー”を与えてくれます。私も、自分が小さい頃に「iPad」と「インターネット」が欲しかったです〜(笑)。

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